街で話を聞いたところ、「マイナス金利の解除が決まったんですか」と、みなさんかなり気にされている様子でした。そこで第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣さんに詳しくお聞きします。
■「住宅ローン」「家賃」にどう影響する?
マイナス金利の解除が決定しましたが、これによって私たちの生活にはどんな影響があるのでしょうか?
永濱さん:
生活レベルで言うと明らかにメリットとデメリットがありますが、まずはデメリットからお話します。
金利が上がるということは、お金を借りている人からするとデメリットになります。
その中でも恐らく一番影響が大きいのが住宅ローンです。固定金利しか上がっていなかったんですけれど、これからは変動金利が上がる可能性があります。
そうなると、すでに変動金利で住宅ローンを借りている人の負担が増える可能性があるというのが1つあります。
もう1つは、ゆくゆくは我々の家賃も上がる可能性があると思います。
今回の政策決定によって、いつから、どれくらい住宅ローンの金利が上がり始めるものなのでしょうか?
永濱さん:
変動金利については、一般的には4月と10月に金利が見直されますから、早いと4月から上がる可能性があると思います。ただ、上げ幅については今回マイナス金利をゼロから0.1に、0.1%ぐらいしか上げていませんから、上がり幅も最大0.1ぐらいかなと思います。
0.1%金利が上がるとなると、住宅ローンの負担額としてはどれくらい増えるのですか?
永濱さん:
具体的な例が分かりやすいと思います。5000万円で35年ローンを組んだ場合を考えると、金利が0.1%上がると支払額の総額が100万円増える。大体、年間2万8000円ぐらい負担が増えるイメージです。
今後、変動金利が上がるとなると固定金利に借り換えたほうがいいのでしょうか?
永濱さん:
あまり急がない方がいいと思います。
固定金利は今でも1%より相当高いです。さらに手数料がかかる可能性もあります。
手っ取り早く対応するのであれば、繰り上げ返済をすると負担増を抑制できる可能性がありますので、そういう方向でいくのがいいかなと思います。
では賃貸の人も影響が出てくるのでしょうか?
永濱さん:
家を貸している人にとってみると、貸している家についてもローンを組んでいる可能性があります。
そうなると、金利が上がるとそれだけ利払いが増えますから、それを賄うために家賃を上げる可能性が出てきます。
■預金の利息だけでなく…保険料もお得に?
それでは良い話、メリットをお願いします。
永濱さん:
お金を貸している側からするとメリットになります。
そこで一番手っ取り早く恩恵を受けられるという意味では、預金の金利が上がる可能性があるということです。
もう1つは、これから加入する保険の保険料が安くなる可能性もあるということです。
利息はイメージできますが、保険もお得になるのですか?
永濱さん:
そうですね。マイナス金利の解除をきっかけに長期金利も上がってくるわけです。そうすると保険会社の保険料率が上がりますから、これから加入する保険が同じ内容の保険でも今までよりも少し安い保険料になる可能性が出てきます。
デメリットとメリットの両方があることは分かったが、どうしてこのタイミングでのマイナス金利解除になったのでしょうか?
永濱さん:
おそらく生活者に対しての考えでいえば、行きすぎた円安を抑え込みたいという意図も日銀にあったのかなと思います。
(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年3月19日放送)
[テレ朝news]